黒鉛を知ろう
世界の黒鉛産出国について
黒鉛の採掘場所
黒鉛の原料となる炭素は「植物中の有機物」または「マグマ中の二酸化炭素など」に含まれる一般的な物質です。そのため、純度・産出量を考慮しなければ多くの国で見つけることができます。
しかし、商業的に成功する場合は様々な条件が必要になるため、現在黒鉛を産出している国は限定的になります。
世界の黒鉛産出国
まずは、黒鉛を産出する国を見てみましょう。現在、約18か国が黒鉛を産出しています。

次に、黒鉛の種類別に産出国を見てみましょう。
鱗状黒鉛(塊状黒鉛)の産出国
この種類の黒鉛を産出する国は現在スリランカのみです。1992年から10年間出版した小学4年生用教科書に掲載された物語「一本の鉛筆の向こうに」に掲載されていた場所といえばわかる方もいらっしゃるかもしれません。
鱗状黒鉛(塊状黒鉛)は高純度の塊状で産出される黒鉛です。
200年ほど前まではイギリスでも産出していましたが、現在は閉山しています。また、北米で少量の塊状黒鉛が見つかっているようですが、市場で見ないことから商業的になり立たないものと推測されます。

土状黒鉛の産出国
土状黒鉛は約6か国で産出されており、中国からの輸入がほとんどを占めています。
鱗状黒鉛に比べ結晶性が劣りますが、粉砕しやすく比較的安価に微粉が得られます。

鱗片状黒鉛の産出国
他の2種類と比較して様々な国で産出されていることが分かります。
塊状黒鉛に比べ安価でコストパフォーマンスに優れていることから、鱗片状黒鉛は鉱石として天然に産出する黒鉛の中で最も一般的な黒鉛といえます。

日本では?
日本においても、岐阜県・富山県において黒鉛は産出されていました。しかし、安価・高品質な外国産に押され20世紀中ごろまで閉山しました。
もしも
商業ベースに乗らないだけで、黒鉛粒子は少量であれば地球上のいたるところで見つけることができます。
もし黒鉛が金やダイヤモンドのように高価であったならば、世界中のいたるところが黒鉛鉱山となったかもしれませんね。
アイキャッチ画像
今回のアイキャッチ画像は、鉛筆の歴史に強い影響を与えたイギリスのボローデールの黒鉛です。
「Plumbago (プランバゴ)」 や「Wad (ワッド)」 とも呼ばれていたようです。
(弊社にて初期の鉛筆を再現してみました)